歯周病専門医 Dr.宮本の歯周病講座 その1

歯周病ってどんな病気?

歯周病は、歯の周りの組織(歯肉、歯根膜、歯槽骨)が細菌に感染して起きた炎症によって破壊されていく病気です。
そもそも炎症が原因で骨が溶ける病気は人間の体の中でもめったに起こることはありません。大変特殊な病気です。

しかし、歯周病の有病率(病気になっている割合)は大変高く、現代社会では程度の差はあれ大人のほとんどの方が歯周病にかかっています。ギネスブックにも世界で最も多くの人がかかっている病気として登録されています!

歯と歯肉の境目にある溝は歯周ポケットと呼ばれますが、歯周ポケットには大変な数の細菌が棲んでします。一方歯周ポケットには歯という硬い組織と歯肉という軟らかい組織の継ぎ目があります。この継ぎ目は人間の身体でも最も弱い組織なのです。
つまり、歯周ポケットは大変もろい組織なのに大量の細菌が棲んでいるために、多くの方が歯周病にかかっていしまうのです。
宮本歯科・矯正歯科ではほとんどの成人の患者様に歯周病の検査をおすすめしています。

歯周病の進行度と治療について

数多くの歯周病患者様を治療してきた私の持論は「歯周病の最大の治療は歯周病にかからないこと」です。
といってもなにしろ8割以上の成人の方がかかっている病気ですので、不幸にもかかってしまった歯周病はなるべく進行させないことが肝です。

治療方法はその進行度によって大きく異なります。歯周病は虫歯の様な痛みのようなはっきりとした症状が出にくく、自覚症状が出る頃には手遅れの場合が多いため、自然と困難な治療が多くなってしまいます。
宮本歯科・矯正歯科では歯周病の進行度を正確にお伝えすることを大切にしています。

軽度の歯周病
軽度の歯周病

炎症が歯肉に限られている状態です。歯垢(プラーク)はバイオフィルムと呼ばれる強固に歯の表面にくっつく膜となっています。(毎日掃除していてもお台所のシンクのスミにつく「ぬめり汚れ」を想像してください)
バイオフィルムや歯石は歯科医院で専用の器具によって除去します。
正しいブラッシングと生活習慣の改善によりほとんどが治癒します。

中等度の歯周病
中等度の歯周病

炎症がやや進み、歯と歯ぐきの間の溝(歯周ポケット)が深くなった状態です。徹底したブラッシングとともに、歯科医院での歯石の除去(スケーリング)や歯根をツルツルにしたり(ルートプレーニング)、深い歯周ポケット内の清掃によるバイオフィルムの除去を行います。
歯石の除去と簡単に言いますが、深い歯周ポケット内の歯石の除去は多くの時間と熟練した技術を要します。まさに歯科衛生士の腕の見せどころです。治療による清掃は歯の表面にしか行いませんので、歯ぐきは原因物質を除いたあと人間の持つ治癒力で治っていきます。そのため治療の成果はしばらく時間をおかなければわかりません。

高度の歯周病
中等度の歯周病

さらに進んだ歯周病により歯が動いている状態です。
不幸にしてこの状態まで放置されてしまった場合・・・治療は飛躍的に困難になってきます。
抜歯という選択肢も仕方ない場合があります。
治療のためには歯周病を専門に治療されている、あるいは得意にされている歯科医院を受診することをお勧めします。
抗生物質による化学療法、外科手術、咬み合わせの調整や歯を連結する咬合療法、生活習慣の改善など総合的な治療が必要です。