矯正治療やったほうがよいですか?

宮本歯科・矯正歯科は矯正治療に特化した矯正専門歯科医院ではないので、むし歯や歯周病の治療に来られる方もたくさん訪れます。そのなかで「先生、私の(あるいは子供の)矯正治療やったほうがよいですか?」という質問を受うけることがよくあります。

 矯正治療をやると、見た目が確実に良くなります。しかし、その他の利点についてはケースバイケースです。
一般的に歯並びが良くなると、むし歯や歯周病になりにくくなるといわれます。正確には、歯並びが良くなることで、プラークがたまりにくくなり、清掃しやすくなるため、むし歯や歯周病のリスクが減る、ということです。むし歯や歯周病のリスクは他にも複数あり、リスクの大きさに個人差があるため、あくまでその一部が改善されるという意味です。

一般歯科医としても定期健診やヘルスケア(健康な歯と歯ぐきの維持)を実践している私は、むし歯や歯周病の予防や改善に最も有効なのは、自分の歯と口に高い関心を持つこと、持ち続けることだと考えます。

歯並びを治すことで、患者様が自分の歯に高い関心を持つようになり、その後も良い状態を維持できている方がたくさんいらっしゃいます。
矯正治療の最大のメリットは、見た目がきれいになることですが、それに加えて歯と歯ぐきの健康を保つチケットを手に入れることではないでしょうか。

歯科矯正用アンカースクリューを用いた矯正治療

あらゆる歯科治療法が日進月歩の昨今ですが、数ある矯正治療法の中で最も進歩した治療法が歯科矯正用アンカースクリューを用いた矯正治療です。

アンカースクリューとは歯の周囲の骨に打ち込むネジのことです。矯正治療では直径1.5mmから2mm、長さ6mmから8mm程度の小さなスクリューを用います。チタン製のスクリューを骨に打ち込んで、そこにゴムやスプリングを結んで歯を引っ張るのです。

埋め込むには少量の麻酔を必要としますが、数分で処置は終わります。また、矯正治療が終わったらスクリューは簡単に取り外すことができます。

従来の矯正治療はどの歯も自由に動かせるわけではありませんでした。この治療法の登場により、いままで難しかった方向へ歯を動かすことが簡単にできるようになりました。

歯科矯正用アンカースクリューを用いた矯正には次のような数多くの利点があります。

ゴムや取り外しの装置など患者様自身に使っていただくものが不要になる。
前歯を後ろへ余分に動かすことができる。
奥歯を後ろへ動かすなど従来の治療法では大変難しい歯の動きが可能になる。
余分な歯の動きを省略できるため治療期間が短くなる。
  
この治療法の登場により矯正治療計画そのものが変化してきています。つまり、今まで実現することが出来なかった歯の動きを実現させたり、抜く歯を変えたり・・・。
患者様に対して最小限の介入で最大限の効果を得るために矯正の手法は日々進歩しています。

第2大臼歯をならべましょう

ヒトには28本の歯があります。親知らず、第3大臼歯を含めると32本になりますが、近年の日本人で32本の歯がすべて綺麗に並んでいる方は大変稀です。通常12歳臼歯と呼ばれる小学校高学年から中学生の頃に生えはじめる第2大臼歯が生えそろった時点でかみ合わせは完成されます。

私がこどもの矯正治療を行う場合に、最も注意しているのが第2大臼歯の扱いです。歯並びは第2大臼歯がそろって完成なのですから、この歯をきっちり並べなくてはいけません。また、将来むし歯になりやすいのも第1大臼歯と第2大臼歯が圧倒的に多いので、奥歯をきちんと並べることが重要です。

前歯が綺麗にならぶことは見た目にとって大変大事なことですが、歯ならびを将来のむし歯や歯周病の予防にと考えるのであれば、第2大臼歯をきちんと並べることが大切なのです。

こどもの矯正治療が小学生のうちに終わった!というのは親御さんにはウレシイ知らせかもしれませんが、それでは第2大臼歯の面倒はみない矯正治療になってしまいます。また残念ながら矯正治療に後戻りは切り離せない問題です。せっかく綺麗に並んだ歯ならびが装置を取り外してからだんだんと崩れていくことはよくある現象です。最低でも歯ならびが完成する第2大臼歯がきっちり生えた時点までは矯正治療が続かないと、途中やめの矯正治療になってしまいます。