新型インフルエンザ騒動

世の中いまだ新型インフルエンザでもちきりです。特に神戸市は今回の騒動(あえて騒動と言わせていただきます)の中心地になってしまいました。

先週の土曜日、学会出張で岡山へ行っていたインチョーのもとに副院長から携帯メールが一通。「神戸高校で新型インフルエンザ陽性患者が出た。週明けの診療はどうしましょうか?・・・」神戸に帰ってからは刻々と状況はひどくなるばかり、週明けからは混乱の毎日が続いています。

医院では診療をどうしようか?救急性のない診療は受け入れるべきか?と、様々なことを考えました。同業の先生方と情報交換しましたが、結局新たに取り入れたことといえば「待合室でのマスクの着用を義務化」した程度です。

今回の新型インフルエンザ、成田空港での大げさな検疫体制から、厚労省の対応は完全に失敗に終わりました。

航空機で全世界を飛び回っている現代、潜伏期が1週間程度ある疾患を対象にして水際対策は全くもって用を足さなかったのです。加えて鳥インフルエンザを想定した厳密な防護服姿の検疫官の姿を繰り返しテレビ放送したものですから、無用な心配を国民に与えてしまいました。

そのくせ、感染者・発症者が多数でている現在、新型インフルエンザの病状に関する情報は全く出てきません。やっと今日になって、発症者の主な症状とその対応法が発表されました。それにともなって厚労省は季節性インフルエンザと同様の対応うんぬんと発表しています。

改めてこの国の非常事態への対応能力のなさを実感しました。メキシコで、米国で、症例はたくさんあったのにその情報を全く解析していませんでした。水際で感染症の国内流入を食い止めるなどということを真剣に考えていたのでしょうか?

ただし、今回の騒動がきたるべき鳥インフルエンザ対策の貴重な予行演習になったことは確かです。成田空港での発見から、ほんの数日でわが身に降りかかってくる。このスピードでは日頃から対応を検討していないと、本番で失態を犯してしまう危険性はいくらでもあります。

      人の流れがあまりに早くなった現代を象徴する出来事です。