ドラッグラグ 歯科版

最新の歯槽骨補填剤 GEM21S を注文していたものが先日届きました。

歯周病やインプラントの手術で歯槽骨をつくるときに使用する骨補填剤、つまり骨の代わりに詰める材料です。
GEM21はベータリン酸三カルシウムという従来骨補填剤に使われていた物質にPDGFという成長因子を加えてパワーアップ!したものです。成長因子はヒトの細胞に働きかけて増やしたり、いろんな有用な物質を出させたり、つまり細胞を元気にする物質です。
先日東京で行われた日本歯周病学会大会でもアメリカのMK McGuire先生がGEM21Sを使った臨床症例をたくさん発表されていました。

非常にすばらしい薬ですが、最大の問題点は日本の薬事法未承認である点です。

なにしろ日本のお役所の新しい薬に対する規制は大変厳しい!つい最近も難病の「ムコ多糖症」の特効薬の承認をめぐってJ-POPグループの「湘南乃風」が支援してマスコミにとりあげられました。「ドラッグラグ」-海外ではとっくの昔から使っている薬なのに日本では認可されていないため使えないーという言葉も有名になりました。

こと、歯科の世界はドラッグラグがさらに長いよう思います。そりゃ、歯科の病気は命にかかわるものじゃないから厚労省も気合がはいらないのかもしれません。また製薬会社もさほど数が売れる薬じゃないので乗り気じゃないのかもしれません。

骨補填剤として認可されているのは、ハイドロキシアパタイトの数種類のみ。10数年前に数種が認可されて以来、新しい薬は長く許されていません。ベータリン酸三カルシウムさえ歯科では使用が認可されていないのです。

国際的医薬品の上位100品目のうち日本ではいまだ25%の薬が未承認という医療界全体の現実の前でも、さすがに10年前の薬以来進歩なしというのはいただけません。治療法や治療薬はどんどんと新しいものが開発されているのに・・・

というわけでGEM21Sも海外からの個人輸入品です。こういった個人輸入は蛇の道は蛇、ネット上には海外から直送してくれる業者がいます。大変便利ですが(大きな声ではいえませんが)薬としてきちんと税関を通過していないので後ろめたさがありました。そこで、今回は個人輸入を代行してくれる業者を介してきちんと医療機器の輸入として入手しました。数枚の申請書類を書きましたが、以外と楽チン!しかも値段も安かったのです。

ちなみにGEM21Sを使った治療は健康保険は効きません。私費治療となります。また、使用に関する責任はインチョーの私自身となりますので、患者様とは詳しいカウンセリングの後で十分了承いただかないと使えません。