Infection controlとは?

Infection controlという言葉があります。

歯科治療は唾液に触る治療です。唾液にはごくごく少量ですが血液が混じっています。また、歯科治療の中には抜歯や手術などの直接血液を触る治療もたくさんあります。
血液を介して感染する病気を予防することをInfection controlと呼びます。特に歯科治療では使用する多彩な器具を介して患者様から患者様への感染がゼッタイに起こらないようにすることを考えなければなりません。

Infection controlという考えは近年になって生まれました。インチョーが学生の頃や卒業直後の頃、歯科治療はすべて素手で行っていました。もちろん外科手術では厳密な手洗いとグローブ着用が義務づけられていましたが、普通の歯科治療でグローブをしている歯科医師は数えるほどしかいませんでした。最も先進であったはずの大学病院で!
それがいつのまにか歯科医師はグローブをして治療を行うもの、という常識に変わってきたのです。

今話題のC型肝炎は輸血や血液製剤など直接ウイルスに汚染されたものを血管にいれてしまったことで起こりました。また、それ以外では注射針の使いまわしなどの過去の不適切な医療行為で感染したのでは?と言われています。
C型肝炎は恐ろしい病気ですがウイルスの感染力は弱く、唾液を介しての感染はほとんど可能性がない、とされています。

Infection controlの難しいところは、この可能性というヤツです。

可能性がほとんどないとは言えるのですが、絶対にないということを証明することは大変難しい。可能性がほんの少し、いや、ものーすごーく少しであってもInfection controlは行なわないといけないのです。

歯科医院がInfection controlを行なおうとするとお金がかかります。

最も簡単な方法はディスポーザブル、すなわち一人の患者さんで使ったものをそのまま棄てて、患者さんごとに新しい物を使うことです。

残念ながら日本の医療保険制度ではInfection controlに対してまったく費用の負担が考慮されていません。すべて自腹を切って行なわなければなりません。

宮本歯科・矯正歯科でも患者さんごとに交換する歯科用のドリルを複数用意しています。
開院5年を迎えて先日ドリルを買い替えることにしたインチョーは一挙に10本以上購入しました。

患者さんごとに交換したドリルの先はそれぞれウイルスや細菌を殺す、滅菌・消毒処置をしなければなりません。
ドリルの先を滅菌する機械もそろえなければなりません。

こういった出費がまったく保険制度に考慮されないことは医院の経営には大変イタイ問題です。

現在の保険制度は考えれば考えるほど矛盾があって、歯科治療では出血はないのですが、インチョーの胃からは出血しそうです。