反対咬合の犬

いきなり、グロな写真ですみません。
今回は、「ワンコのたわごと」にも登場の我が家の愛犬ハルの話です。

ハルには一応血統書がついています。駄犬の割りに血筋はいいのですが、実は反対咬合です。つまり上顎の歯と下顎の歯が逆転しています。下が前なのです。

ブリーダーさんのなかでは「アンダー」と呼ばれているようです。ドッグショーにでる犬にとっては致命的な欠点だそうです。「いかに純潔種のスタンダードに近いか」を競うのがドッグショーなので、スタンダードの骨格やかみ合わせに近くなければどんなにカワイクてもカシコクても評価は低くなるのです。

ハルをみつけた時、ブリーダーさんは一言。
「この犬はアンダーだから5万円引きでいいよ!」

当時大学の矯正歯科に勤めていたインチョーは、この一言で「ぜったいこの仔犬を買おう!」と決めてしまいました。反対咬合というだけで、そんな風にあつかわれるのかとショックだったのです。
・・・決して安くしてくれたからではありません(笑)。

ブリーダーさんのなかには、反対咬合を矯正してドッグショーに出すという話も聴きました。歯ならびの専門家として負けてはおられない、とインチョーはネットで実際に犬の矯正治療をやったという方にメールしました。その方によるとレトリバー等の大型犬の歯型をとって、矯正装置をつくったそうです。ただし乳歯から永久歯の交換期でないと矯正は難しいとのこと。

ハルの歯は大きいはずの下顎の歯がガタガタです。インチョーの診断では結構難症例。結局、矯正の夢はかなわずそのままになってしましました。ショードッグとしては役立たずの犬ですが、我が家の一員として病気ひとつせず元気に育っています。

と、いっているうちにハルも6歳。人間で言えば壮年の域に達しました。最近は反対咬合とは別の問題が・・・

現代の飼い犬にとって歯周病は大問題。ハルの臼歯にも歯石がよくつきます。歯周病専門医として飼い犬を歯周病にさせる訳にはいかない、とばかりにブラッシングや歯石除去をしなければいけないのですが・・・色々と苦労があります。
このお話はまたの機会に詳しく書かせていただくかもしれません。