隣接面カリエス(歯と歯の間のムシ歯)をふせごう

歯と歯の間はプラークがたまりやすく、しかも掃除がしにくい場所です。
つまりムシ歯になりやすい場所です。

歯と歯の間のムシ歯にどう対応するかが、歯の寿命を決めるポイントになるように思います。

その理由は、
1. 発見が遅れがちです

臼歯(奥歯)の溝もムシ歯になりやすい場所です。しかし歯の中央に穴があけば患者さん自身でも容易に発見できます。しかし、歯と歯の間のムシ歯はある程度の大きさになってから(図では③の状態で)穴があくため発見が遅れがちになります。つまり、ムシ歯が発見された頃にはかなりの歯がダメージをうけてしまっています。

2. 治療には歯の健康な部分をけずってしまいます

歯と歯の間のムシ歯を治療する場合は一般的にインレーと呼ばれる詰め物を行います。インレーを作るためには歯を削って型どりをします。型どりした歯型に石膏を流して歯と同じ形の模型をつくります。その模型の上で金属やポーセレンなどの材料を用いて精密な詰め物を作るのです。

ムシ歯が歯の側面だけであっても、歯の噛み合わせの部分を削って詰め物を作らなければなりません。つまりムシ歯に侵された歯の側面部分だけでなく健康な噛み合わせの部分も犠牲にしなければインレーは作れないのです。

できるだけ歯を削らない治療を行ないたい立場としては大変心苦しいことです。

3. 歯ぐきの下にまで進行したムシ歯は治療が大変困難です

不幸にして発見が遅れて進行したムシ歯では、時に歯ぐきの下にまで進んでいます。

歯ぐきの下深くまで歯を削った場合、型どりの作業が大変難しくなります。歯と詰め物の境目をぴったりあわせることができません。また、歯ぐきの下に境目がある場合、患者さん自身ではみがく事ができません。それによってムシ歯の再発が大変高い確率で起こってしまいます。

隣接面カリエスはいったん起こってしまうと治療が大変で、しかも予後が悪い(再びムシ歯を再発することが多い)というやっかいなムシ歯です。