オーラルフレイル 新しい歯科医療のテーマ

近年、歯科医師会の地域保健関係で最も力を入れているのが「オーラルフレイル」です。全身の衰弱にあたる「フレイル」のお口の中バージョンです。フレイルは超高齢化社会を迎えた日本では大変重要な概念です。フレイルとは「健康」と「要介護」の中間の状態、しかも適切な対応をとることができれば、機能を元にもどすことができる状態です。つまりフレイルに対応できれば、要介護の状態を先送りすることができる、健康寿命を延ばすことができるのです。

アクティブシニアのためのオーラルフレイルハンドブック(神戸市歯科医師)より

フレイルとは体重減少や筋力低下などの身体的変化だけでなく、気力の低下など精神的な変化、社会的な孤立なども含まれます。オーラルフレイルとは具体的には、むせる、食べこぼす、噛みにくい、少ししか食べられない、柔らかいものばかり食べる、舌が回らない、しゃべりにくい、お口が乾く・・・などの症状を指します。近年オーラルフレイルが注目されているのは、オーラルフレイルはフレイルに先立って出てくることです。つまりオーラルフレイルに適切に対応できれば、将来起こりうるフレイルや要介護状態を先送りにでき、さらには死亡率も下げることができます。

オーラルフレイル対策は、日本歯科医師会、兵庫県歯科医師会、神戸市歯科医師会でも積極的に取り組んでいます。特に神戸市では2021年秋から、65歳の市民を対象にオーラルフレイルチェックが始まりました。クーポン券が市民に送られますので、神戸市歯科健診実施歯科医院で予約をとればご自身のオーラルフレイルの状態がチェックできる制度です。これは全国の政令都市で初めての先進的な取り組みです。