歯科医師はAI(人工知能)に仕事を奪われるか?

少し前になりますが、週刊誌にAIの進歩によって給料が「下がる仕事」「上がる仕事」ランキングという特集がありました。 それによると歯科医師は給料が下がる仕事の第1位にランキングされていました。


 歯科医師の仕事は本当にAIにとって代わられるのでしょうか?

 確かに将来医者や薬剤師など多くの医療関係の仕事がAIにとって代わられるのは事実です。 特に様々な検査をして病気を診断する、それに対して適切なお薬を出すというような内科医の仕事はAIの得意分野です。 また高感度のセンサーを搭載した優秀なロボットの出現で、繊細な技術をもったロボット外科手術が可能となるでしょう。ゴッドハンドを持つ外科医と同じ手術がどこでも受けられることになる可能性があります。

 ただ、歯科の世界ではどうでしょう?

 歯科の病気はむし歯と歯周病というふたつの病気がメインで、いわゆる診断名をつけて、薬を処方するという仕事はほとんどありません。

 毎日の仕事は小さな外科手術の連続ですので、優秀なロボットの出現は期待できます。つまりロボットが歯を削ったり、根っこの治療してくれる時代が来るかもしれません。 実際に冷たい粘土みたいなもので歯型をとって、石膏で模型を作って、金属を鋳造して被せ物を作る、という過程では新技術が開発されました。精密な画像センサーで歯型を読み取って、画像処理をして、セラミックの塊を削り出して被せ物を作る技術です。

 問題はコストなんですよね。

 ガンや心臓病など命に関わる病気に対しては、新しい薬や治療技術、器械が開発され続けています。しかし、街の歯科医院で行われる歯科治療に、優秀なロボットが設置される時代がくるのでしょうか。特に、日本の歯科の保険治療は技術に対する評価が低い、つまり「安い」ことが最大の問題です。

 結局、その週刊誌の記事でランキングのトップになった理由は、「歯科医院は全国に多すぎて淘汰必至」というものでした。 これって議論のすり替えじゃない?